MAJESTIC

デビュー20周年を飾る3年4ヶ月ぶりの11枚目オリジナルフルアルバム。20年という節目ですので、これまでのDragon Ash(降谷建志/Kj/Steady&Co./TMC/Mob Squad)の活動を年表にまとめました。すごく長いページです。

Dragon Ashの歴史と年表

「MAJESTIC」は2014年1月にリリースされたアルバム「THE FACES」以来、3年4か月ぶりとなる11枚目のオリジナルフルアルバムである。「MAJESTIC」とは“威風堂々”の意。本年メジャー20周年を迎えたバンドがスーパーベーシストKenKenの全面的な参加を得て一段と強度を増した鉄壁のDragon Ashサウンドを武器に、さまざまな音楽遍歴を積み重ねたKjが作り出す、優しさと強さをあわせもつ比類なきリリック、そしてメロディがダイナミックに、そしてより緻密に混ざり合い、メモリアルイヤーに相応しい金字塔アルバムが完成。すべてのロックファン必聴の、威風堂々たるミクスチャー・ロック・アルバムとなる。

先行シングル2枚(配信シングルも含めると3作)の流れから、分厚い骨太サウンドに流れるようなギターメロディーが効いた曲と縦ノリヘビーロック調の二方向。前者はある種完成されたザDragon Ash的な雰囲気を感じる。トゲトゲしさも荒々しさも、美しいサウンドに内包してしまったような印象を受ける。今後のDragon Ashは間違いなく、この方向性で進んでいくだろう。一方、後者のゴリゴリロックテイストは、デビューから20年経ったにも関わらず、まだ変革の途中にあるような、これからの可能性を感じさせるような楽曲。もちろん今後も、この側面に期待している。

28thシングル「Beside You」の初回限定版特典のDVDインタビューでKjが語るには、本作は、5thアルバム「HARVEST」を目指していると言っていた。その話のとおり、インストののっけからシンセの音を響かせて2に遷る繋ぎ方はさすが。

ティザー映像が公開。映像監督は中村剛監督。木村カエラ、YUKI、RIP SLYME、m-flo、テイ・トウワなどそうそうたるメンツのMVを手掛けてきた映像ディレクター。モデルにはアユミ・ターンブルが登場。アルバムの楽曲をイメージして作られた映像だそう。
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1:Majestic

インスト。いつもの「Intro」という表記ではなく、今回はアルバムタイトルが曲名につけられた。懐かしくシンセを多用したデジタルミュージックを思わせる…「Harvest」のころのようなトラック。このコーラスは「光りの街」のレコーディング時に撮られたものらしい。

2:Stardust

1からの流れで2曲めに突入。間違いなく、このアルバムを体現する楽曲。ハードコアグランジから始まり、ヒップホップなどのラップミュージックで巧みな韻の取り方ライミングを手に入れ。エレクトロニカで音の幅を広げつつ繊細なトラック作りや王道コード進行を学び。ラテンサウンドで複雑なリズム感と緻密なギター音色、暴れる以外の音へのノリ方を。そして原点回帰したミクスチャーロックで、それらで培ってきた全てを表現する。気持ちの良いくらいそれらが生きている楽曲だろう。1.からのつながりで、雲が開けるようにドラムの音が鳴り響くところがかっこよすぎ。このディレイが効いたギターやスクラッチを組み立てた音像は今のDragon Ashでしか鳴らせない音。HIROKIのギターがシンセなのかわからない。歌詞はThe BONEZのライブでJesseがMCで放った言葉から作られた曲だそうです。

僕らは星屑のかけら
一つ生まれては一つ消える
だからこそ僕らは星団となる
自分達自身を見失わない為に

3:Mix it Up

Dragon Ashデビュー20周年の日に配信リリースされた先行配信シングル曲。20年目のDragon Ashを体現するかのような作品。ヘビーなサウンドと縦ノリなリズムが効いた楽曲。ライブチューン「The Live feat. KenKen」のように、ライブとクルーのことを歌った歌詞。ここ最近は珍しくなってしまったKjのラップがある。キレのある尖ったリズムとリフが特徴的。懐かしの「Bring It」っぽい感じがする。サビがコーラス感が強すぎるのが惜しいですね。それこそ「Bring It」との違いは、そのサビっぽさなのかな?と思います。ちなみに、1番のおすすめポイントは、サビ部分のrhyme。この韻の踏み方と歌い方はKj節が炸裂してます、上手い。

4:Ode to Joy

タイトルの意味は「歓喜の歌」、その名のとおり、全英詞にもかかわらず親しみやすいキャッチーな本アルバムのリードトラック。Dragon Ashらしい言葉ですね。曲全体を通して、心が跳ねるようなドラムが聴いていて心地よいサウンドとなっている。「光りの街」や「Beside You」のように、ディレイを効かせたギターメロが流れつつも、その跳ねたリズムと組み合わさって、豪華なライブチューンになりそうに思える。MVでは“光”をテーマにしてドローンで照明を飛ばしたり、ジャグリングを使ったポイなど、光や影を表現した映像作品に仕上がっている。Kjが廃墟へ向かって喜びのステップを踏みながら歩いていく、かっこいい。Kjの着ている白いパーカーはバックにPTP(Pay money To my Pain)のバンド名入り?グローバルビアメーカー バドワイザーのプロモーションソングにも抜擢。

5:Singin’ in the Rain

メロ部分の軽やかでファンク調のギターリフが心地良い。

6:光りの街

27thシングル。MVがこれまた気合い入りすぎてて、涙しそうになりましたよ。Ivory以来ですかね。3年待たされたのも吹き飛ばされるくらいの良曲。音の厚みがあるものの、それを感じさせない流れるようなメロディーとリリック。Dragon Ashはロックバンドであり、ストーリーテイラーであることを再認識させてもらいました。それにしてもこの曲は様々な情景が浮かびますね。挫けそうな気持ちをそっと背中を押してくれるような…自分を押し殺して生きている人の心の底を引っ張るような…いつまでも夢を追いかけることの大切さ…。暴れる系でもアンセム系でもないため、ライブでのお披露目は数年だけかなと思いますが、良い意味ですごく聴きやすい曲だなと思いました。彼らなりのメッセージ性のあるリリックに、厚みのあるトラック、バランスのとれた楽器と曲構成、最高の作品です。震災後の石巻市「smileパーク」へメンバーで訪れた際に書かれた曲だそうです。こどもたちの笑顔から生まれた希望の曲。そういったバックグラウンドを知ってしまうと「喜ぶために生まれてきた」という歌詞は響きますね。タイトルの「光りの街」は、現在進行系という意味で、名詞の「光」ではなく、「光り」になったそうです。また、新感覚のビジュアルブログ「g.o.a.t」とコラボレーションしたPVを別途公開(Dragon AshからKjが出演)。

7:Headbang

27thシングルのc/w。そのタイトルのとおり、頭を上下に振りまくるアッパーチューン。イントロ〜メロ〜サビ〜大サビと、曲の構成がはっきりと分けられているため、聴き応えのある楽曲になっていますね。特に1回落ち着かせる部分…、DBGの重低音が効いたサウンドで乗せられて、静かにつぶやくKjの歌で落ち着かせられて、を繰り返し、サンプリングされたシャウトから、またもノリノリのリフに戻るという展開。これは頭振っちゃいますな。NTTドコモ主催イベント”LIVE for YOU”で、新しいミュージックビデオの可能性を感じさせるVRバージョンのMVが公開されました。

8:Faceless

少しダークなイントロから入る、最近のDragon Ashでは珍しい曲調。この曲を聴いて、2ndアルバム「Buzz Songs」以前の初期のころのDAのように、このアルバムが実験的なものだということを感じた。ストライクボールを投げずに、いろんな球種を試す投手のようだ。でもしかし、前後の曲との繋がりは完璧。

9:Jump

曲の構成や各楽器の緻密な技など、なんともDragon Ashらしい(しかもアルバム後半の曲っぽい)楽曲。映画のサントラっぽい導入に日本語で叙情的な歌詞をラップでKjが歌う。サビに近づくにつれ徐々に気分を高めさせるようなドラム&ベースのリズム隊。シンセやターンテーブルを唸らし壮大に技が披露されるサビ。そして決め手はなんといっても最後のサビ前のKjの叫ぶようなラップ。Dragon Ash好きにはたまらない曲構成でしょう。彼らの生き様のような歌詞フレーズがたまらない。

確かなのは唯一
we can’t live without music

10:Beside You

28thシングル。Kjのソロ活動を経た最近のDragon Ashの曲っぽいサウンド。厚みのある重厚なサウンドを基盤にしつつも、後ろではメロディアスなギターの音色のリピートが曲中ずっと効いている。このバランス感が、降谷建志ソロや、前作27thシングル「光りの街」を彷彿させる、叙情的なミディアムナンバー。水が流れるような歌い方のサビのリズムと、それを切るようなサビ終わりの首を振りたくなるリズムの対比などが、飽きさせないような曲の構成小技が効いている。映画やドラマのエンディングテーマのような余韻に浸れる楽曲だと感じた。

11:A Hundred Emotions

ー100の感情。本アルバムを締めくくるラストナンバー。これまで過去のアルバムのように静かな余韻を残すのでは無く、攻めるようなアッパーチューン。ラストナンバーにこういった曲調を持ってくるのは、初めての試みですね。サビのコーラスやメロディーライン、歌詞などからしっかりと余韻を残してくれるのは流石のひとこと。「Rockのように自由」音楽のために生き、音楽に救われてきた人の重みのある言葉。「俺にはギターがここにある 君も何かがそこにある lyrics by SLASH」

No.TitleRate
Majestic
Stardust
Mix it Up
Ode to Joy
Singin’ in the Rain
光りの街
Headbang
Faceless
Jump
10 Beside You
11 A Hundred Emotions

DRAGON ASH 20TH ANNIVERSARY LIVE SHOW「MIX IT UP」 AT EX THEATER ROPPONGI FEB/21/2017

・天使ノロック
・Mix it Up
・Headbang
・Walk with Dreams
・Velvet Touch
・TIME OF YOUR LIFE
・Ivory
・few lights till night
・The Live

Music Videos

・光りの街
・Headbang
・Mix it Up
・Beside You

デビューから20年経ったにも関わらず、まだ変革の途中にあるような、これからの可能性を感じさせるような実験的なアルバム。20周年ということで密かに期待していた、客演featuringゲスト、シークレットトラックの復活については、今回はありませんでした。

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